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バルーンショップインタビュー(1) 神奈川県「Avanti(アヴァンティ)」

INTERVIEW

アムスキャン・アナグラム製品を販売している小売店様へのインタビュー。
今回取材したのは、神奈川県のバルーンショップ「Avanti(アヴァンティ)」様。
開業のきっかけや人気商品など、店主の安田 弥史(やすだ ひろふみ)さまへお話を伺います。

Avantiについて

2011年5月に神奈川県・横浜市にオープンしたバルーンショップ。従業員は2人。
実店舗とオンラインショップでの販売を中心に、各メーカーのカタログから8000点、店内に約300点のバルーンを取りそろえています。

被災地でのバルーンとの出会い

ー お店を始めたきっかけを教えてください。

私は2007年からNPO法人で、コンサート会場などに飾られた花を回収して児童養護施設や老人ホームヘ寄贈する活動を行ってきました。
転機が訪れたのは、2011年、東日本大震災の直後。
報道で被災地の悲惨な状況を目にして、居ても立ってもいられず、被災地へ花を届けにいくことを決意しました。

震災から約2週間後、政府からの特別許可を得て、約1万5000本の花を積んだトラックで被災地の遺体安置所を10箇所ほどまわりました。

ある遺体安置所のそばを通ったとき、近くから子どもたちの明るい声が聞こえてきました。
遺体安置所となっていた体育館は涙声がこだまして聞こえてくる一方、隣にある校舎は避難所で、子どもたちもたくさん避難していたんです。
そこでは、自衛官の女性と子どもたちが風船でバレーボールをして遊んでいました。

そのシーンは、今でも鮮明に覚えています。抜けるような青空に、鮮やかな風船が浮かんでいて、子どもたちが笑顔でそれを見上げている。
悲しみにあふれる被災地のなか、バルーンのまわりには、希望と未来があふれていたんです。

東京へ帰るトラックの中でもこのシーンのことが頭の中で再生され、心の中でもう決めていました。
バルーンショップを通じて子どもたちの笑顔を増やしたいという強い願いから、震災から2カ月後、お店をオープンしました。

ー 開業してから大変だったことはありますか?

当時はバルーンに関する知識が全くなかったので、とにかく失敗の連続でした。
ヘリウムガスの特性も分かっていなかったので、夏にガスをパンパンに入れて破裂させてしまったり、逆に冬はペコッとへこんでしまいクレームをいただきながら「なんでだろう?」と悩んだり…。
たくさん失敗を重ねて、少しずつバルーンの特性を学んでいきました。

ー 逆に、過去の経験で生きていることは?

NPO法人で花を寄贈する中で花屋で修行する機会があったのですが、そのときの経験が今とても生きています。
花屋もバルーンショップも扱うものが違うだけで、やることは非常に似ているんです。
例えば、バルーンのアレンジやラッピングは、花屋でブーケをつくるときの色彩感覚やリボンの使い方などちょっとしたコツが生きています。

横浜ならではのお店の特色

ー 横浜にお店をオープンした理由を教えてください。

「学生時代を横浜で過ごしたので街に親しみがありました。
この店の場所は、児童養護施設へ花を寄贈した帰りに通り、不動産屋が目に入ったもので車を止めて、それとなしに「この辺りに手ごろな空き店舗ありますか?」と尋ねたんです。そうしたら「隣が空くよ」と教えてくれました。当時、海外の方がここでジュエリーショップを営んでいましたが、2011年の震災を受けて母国へ帰られてしまうこととのことでした。被災地でバルーンに出会い、児童養護施設で子供たちの笑顔に見送られたあとに、この場所をみつけたので、とても不思議なご縁です。

ー お店の内装のこだわりは?

店の内装は、シックなイメージを意識しています。私の場合、華やかなパーティ装飾に魅せられたわけではなく、1つの風船に夢や子供たちの未来を重ねて、ことが始まりでしたので。
開業にあたって、いくつかのバルーンショップはもちろん、「パーティシティ(※)」を始めアメリカ、ヨーロッパなどにも視察に行きました。
※ハワイにあるパーティグッズ専門店

どこのショップもインパクトがあってに華やかで。そういう中で偶然見かけた花屋がありました。シックな外観とレトロな照明をウインドウの中に覗かせる小さなお店です。「この店ならきっと素敵なものを花束を作ってくれる」そういった期待を抱かせてくれる店のイメージを大切にしています。

ー 訪れるお客様の傾向と人気商品を教えていただけますか。

お客様は横浜という土地柄もあり、海外の方が多くいらっしゃいます。
そのほかには近隣にお住いの日本人の方、観光客の方、この街で結婚式を挙げられる方です。AvantiではWebサイトやInstagramも運用していますが、いらっしゃる方のほとんどが口コミ経由で訪れていますね。
人気のバルーンの傾向としては、パーティーやバースデー需要のほか、結婚式場が近くにあるため、ウェディングの需要も多くあります。Anagramのバルーンは種類が豊富でお客様をいつもワクワクさせています。
このあたりのアイテムは、横浜の夜の街のお店からも支持されているデザインですね。

海外の方は、記念日に限らず、日常的にバルーンを購入して下さいます。一輪の花のようにバルーンをひとつ。

それから観光で訪れたお客様は、「バルーンショップなんて珍しい、地元にもあったらいいのになぁ」とよく言われます。
そんな時は「あなたの地元にもありますよ」とインターネットで探して、ご案内しています。
実は、みなさん知らないだけで、大きなエリア単位で見るとバルーンショップってかなりの数があるんです。
バルーンショップを珍しがって訪れてくださるのもとても嬉しいことですが、身近にバルーンショップがあることも、ちょっとずつ知ってもらえたら嬉しいですね。

想いのあるわがままを叶えるお店

ー バルーンショップを始めて嬉しかったエピソードを教えてください。

嬉しいエピソードはいくつもあります。

例えば、この辺りはハロウィンになると子どもたちが仮装して歩いたり、街をあげてイベントが行われるんですね。
3000個のバルーンが街頭で配られますがあっという間になくなってしまいます。泣きながらお母さんに抱きつく子供がいて、見かねて「おいで!」とお店まで一緒に。風船を持った子供が店から出る瞬間を見た次の子が、僕にも風船!次々に子どもたちがやってきて…結局夜おそくまでバルーンを欲しがる列が途絶えなかったことがあります。

子どもたちが喜んでくれる姿は、私の原点に帰るようで嬉しい光景ではありましたが、あれから、ハロウィンイベントのバルーンを配る時間は、ちょっぴり恐ろしくて店の灯りをそっと消しています(笑)。

ー お店を営む上で、大切にしていることは?

まずは地元の人を大切にすることです。

テレビなどメディアに出演することも大切ではありますが、その効果は一時的な集客であることがほとんどです。バルーンは毎日必要なものではないからこそ、地域の人たちが必要になったとき「あそこにバルーンショップあったよね」と思い出してもらえる存在になるほうが、長く続けるためには大切です。

それから、お客様の想いのあるわがままを叶えること。「想いのあるわがまま」というのは、例えば、娘の誕生日なのに仕事が終わるのが遅く、お店に着くのが9時になってしまう。「もう閉まってますよね」と電話で聞かれれば「大丈夫。お待ちしています。」とお答えします。そういう想いのあるわがままは、できるだけ叶えたいですし、叶えるとお店のことをちょっぴり好きになってくれるんです。少なからず、このことが口コミにも繋がっているかなと思います。

ー これからお店を始める人にアドバイスはありますか?

一時的な効果や利益を追い求めるよりも、長く続けるために、まず地元の人に愛されるお店を目指してみてはいかがでしょう。
もし、これからお店の場所を探すのであれば、その街の特性に注目してみてください。
例えば、子どもが多いとか海外の方が多いとか、学校が近いとか。そういった意外なプラス要素に気づくことができると、その街の人たちにバルーンショップがどうやって浸透していくか、イメージもしやすくなるはずです。

ー 最後に、安田さんのお店やバルーン業界の未来について展望をお聞かせください。

8年もバルーンショップを営むと、お客様にも変化があります。
小さいころに誕生祝いに購入したバルーンをずっと記憶していて高校生になってから友だちと訪れる子もいれば、お年寄りの方が孫へのプレゼントにと訪れることも増えてきましたし、日本における葬儀のやりかたも変わってきているのでお別れのシーンでの注文も増えています。
日本におけるバルーンのイメージは少しずつ変わってきているものの、まだまだ「パーティーで使う高いもの」というイメージです。でも私の広めたいバルーンの良さは、もっとシンプルな「バルーンを手にして子どもたちが笑顔になる瞬間」なんですね。

最初にお話ししたNPO法人の花を寄贈する活動は、現在も続けているんですが、8年前から花だけでなくクリスマスにバルーンをプレゼントする活動も展開しています。バルーンをプレゼントしたときの子どもたちの笑顔は、キラキラと未来への希望に満ち溢れていて、私が大切にしていることを、いつも思い出させてくれます。

いつか花屋のように、1つの街、1つの駅にバルーンショップのある未来がつくれたら、子どもたちの笑顔も、もっと増えるんじゃないかと考えています。まずは小売店としてできることを模索して、結果、バルーンがもっと身近な幸せの象徴になったら嬉しいです。

店舗情報

バルーンショップ Avanti(アヴァンティ)
住所:〒231-0861 神奈川県横浜市中区元町1-74
電話:045-513-3887
URL:http://www.avanti-balloon.jp/

取材・写真: 白方はるか

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